第六話 東雲の景色

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   八月十八日(日) 如月颯太  何やら電動音がする。足下から光の束が闇を照らし、それがやがて全てを露わにした。ベッドルームとリビングを隔てる壁は収納され、眼前には自動カーテン越しの圧巻のパノラマビュー。だだっ広いリビングに大きなテーブル、革張りのソファー、全体的にシックでオシャレなインテリアの数々。  そして、開けっぱなしのワインセラーの前には、無様に横たわるビンテージワインの空き瓶たち……。ああ、そうだ。昨日は神楽先輩の家に行って、ワイン飲んで、いやー驚くほど美味いワインだったな。しかし、その後、どうしたっけかな……。 「ソウちゃん、おはよう」 大きなベットに横たわる俺の背中に、しなやかでハリのあるものがふたつ、くっついた。そして、その声の主の唇が俺のそれと重なった。 「えっ、あっ、えっと、その……。おっはようございます……」 驚いた。ベッドの上で振り返ると、隣には一糸纏わぬ神楽先輩がいるではないか! 「かっ、か、か、か、神楽先輩?」 「やだー、ソウちゃん、昨日みたいに『リンちゃん』って呼んで」 そう言うと、その艶めかしいカラダをよじりながらすり寄った。 「ねえ、昨日みたいに私を汚い言葉で辱めて。それで、優しく激しくめちゃくちゃにして!」 呆気に取られる俺を押し倒してさらに続けた。 「しましょ、五回目」 いやいやいや、辱める? 優しく? 激しく? 酔っ払った俺はいったい昨日どんなプレイをしたって言うんだ?
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