ラストワン

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「お誕生日おめでとう!」 「ありがとうー」  雪ちゃんは本当に嬉しそうに笑顔で皆にお礼を言っている。ここは雪ちゃんの家だ。とうとうこの日がやってきたのだった。皆各々プレゼントを持ちよっている。当然僕も例の景品を持ってきている。プレゼントを渡すのはまだかまだかとやきもきしていると、ただいまーと誰か帰ってきたようだ。 「おー今日は誕生日会か」  僕は驚いた。その人は先日お世話になったお兄さんだったのである。 「ん?君は確か……」  お兄さんは僕を見つけると何事か考え出し、やがてニヤニヤ笑い出した。僕は全部見抜かれたと思って顔を赤くしてしまった。  お誕生日会はその後着々と進行してゆき、やがて待ちに待ったプレゼントを渡す時間になった。各自思い思いの品物を渡している。やがて僕の番になった。 「雪ちゃん、誕生日おめでとう」 「ありがとうー」  何度目かのやり取り。雪ちゃんはその場で袋から品物を取り出すと、目を輝かせた。 「これラストワン賞じゃない。本当にありがとう!」  雪ちゃんは余程嬉しいのか小躍りしている。大変な思いをして手に入れた価値はあったのだ。 「お、丁度いいや。俺からもプレゼントをあげる」  お兄さんはそう言うと、二階にあがってゆき、直ぐに降りてきた。その手には大量のクジの景品を持って。 「お兄ちゃん!凄い!これいくらかかったの?」 「さてなぁ、いくらだろうなぁ」  お兄さんはニヤニヤが止まらない。実際その殆どは僕のお金なのだ。なんだか得したような損したような変な気持ちになったしまったのは内緒だ。  誕生日会はその後も続いたが、雪ちゃんは終始ご機嫌であり、終わりのその時間まで皆で大騒ぎしたのだった。 「お誕生日おめでとう!」 完
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