500回「好きです」と言い続けた僕と、500回「お断りします」と言い続けた君

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「好きです、付き合ってください!」  高校1年の夏。  僕の渾身の告白は、彼女の「遠慮します」で玉砕した。  でも僕はあきらめきれなかった。 「すごく好きなんです!」 「お断りします」 「付き合ってください!」 「お断りしますって言ったんですけど?」 「断らなくていいです、付き合ってください!」 「バカなの?」  ののしられた挙句、逃げられてしまった。  僕は次の日も告白した。 「好きです、付き合ってください!」 「嫌です」  次の日も告白した。 「好きです、付き合……」 「無理です」  次の日も告白した。 「好きで……」 「消えて」  こんなやりとりが数ヶ月続いたある日。  彼女は言った。 「今日から500回、毎日『好き』って言ってくれたら考えてもいいよ」と。  僕は有頂天になった。 「うん、今日から毎日君に『好き』って言うよ!」  その日から僕は毎日彼女に「好きです」を連呼した。  もちろん彼女からの返答は「お断りします」だった。  それでもよかった。  僕の告白に返事してくれるだけで満足だった。  休みの日はメールを送った。 『好きです、付き合ってください』  彼女からは『お断りします』という返事が送られた。  僕はそのメールを大切に保存した。  高校2年の冬。  告白した回数は499回。  いよいよあと1回で500回目という日になった。  僕はドキドキしながらいつものようにメールを送った。 『好きです、付き合ってください』  けれど僕のこのメールに対する返信はなかった。  心配になって何度もメールを送った。  返事はなかった。  やがて彼女の妹と名乗る女の子からメールが届いた。 『お姉ちゃんが事故にあって意識不明』  慌てて病院の場所を聞いて彼女に会いに行った。  そこには人工呼吸器をつけたまま眠る彼女がいた。  まるで死んでいるかのようにピクリとも動かなかった。  僕は愕然とした。  今日で500回目なのに。  初めて彼女から本音が聞けると思ってたのに。  僕はゆっくりと眠る彼女の元に歩み寄り、耳元でささやいた。 「君が好きです」  なんの反応もなかった。  彼女は目をつむったまま身動きひとつしなかった。  でも僕はあきらめなかった。 「君の笑顔が好きです」 「君のツンとしたところが好きです」 「君の真面目なところが好きです」 「君の何事にも動じないところが好きです」 「君の正義感が強いところが好きです」  何度も何度も告白した。  すると彼女の眉がピクリと動いた。 「ボクと付き合ってください」  ついに達成した500回目の告白。  僕の言葉に彼女が目を開いた。  生きてる! という歓喜が僕を包み込む。  そんな彼女は僕に顔を向けてほほ笑みながらこう言った。 「お断りします」  500回目の告白も玉砕だったけれど、僕は満足だった。  彼女が生きてる、それだけでいい。  安堵のため息をつく僕に彼女は続けてこう言った。 「だって今度は私があなたに500回『好き』って言い続けたいから」と。
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