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気を取り直したように、白うさぎが背筋を伸ばした。
「早速、捜索にかかるといたしましょう。八兵衛さん、八作さんの特徴を教えてもらえますか?」
「八作は真っ白な翼に一列、茶色の羽が混じっております。羽を広げると、八の字になります」
「それは美しい鳩さんですね。では、失礼して」
白うさぎがお尻の毛を一房引き抜き、ふっと息を吹きかけると、たちまちタンポポの綿毛のようなスマイルが後から後から現れて、キラキラフワフワ飛び回る。
「スマイルたち、ようお聞き。羽に八の字模様のある鳩さんを探すんや。見つけたら、茶柱立てて知らせるんやで」
白うさぎが命令すると、スマイルは隊を作り、あっという間に別々の方角へ飛び去った。「さて」と白うさぎが手を擦り合わせる。
「捜索隊は送ったことですし、我々は冷たいもんでも頂いて待っとりましょ」
「わたくしも喉が渇きましたわ。ほらあすこに、小粋な茶店が」
お洒落なカフェ目指して飛んで行く二つの背中が、どこか華やいで見えるのは気のせいか。
暫く迷っていた八兵衛だったが、流石に疲れたのか羽を広げ後に続いた。
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