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敵襲
次の日もカルロスを連れ、パッカパッカとお馬のおけいこで一行は国境を目指す。
二時間経ったところで、限界だとばかりにサミュエルがマルクスに近づき、無言の圧をかけ始めた。
マルクスがとぼけて視線をそらすと、今度は手綱をツンツンと引っ張るように首を振って、アンディが訴えてきた。
アンディはパッカパッカと緩く走りながら、ジロリとマルクスを振り返る。
「アンディ。お前、馬なのに黙ったまま目で訴えるとか、やめてくれ」
思わずそうこぼすが、アンディはマルクスを睨んだままだ。
「あーもう、分かったよ!」
マルクスは手綱を引いてアンディを止めると、後ろを振り返った。
「私とサミュエルは先発隊として先に行く。あとで詰所で合流しよう」
そう言うやいなや、ハッ!と声をかけて一気にアンディを走らせる。
「はー、気持ちいい!これこれ、この感じ!」と、サミュエルがご機嫌な声でついてくる。
アンディも生き生きと飛ぶように走り、マルクスも思わず笑みをこぼした。
詰所に着くと、早速国境警備隊の隊長とミーティングを始め、今日から配置する部隊のメンバーの確認をする。
「ひとまずこれで様子を見てくれ。人数が偏るようなら、随時調整してくれて構わない。何かあったらすぐにこちらにも知らせてくれ」
「かしこまりました。それで、今日からここに配属になる近衛隊員は、今どこに?」
「あー、ちょっとまだお馬のおけいこ中だ」
…は?と、隊長は素っ頓狂な声を上げて固まっていた。
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