敵襲

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一時間後にようやくカルロス達が追いつき、早速隊員の配置が説明される。 そのままここで任務に当たる隊員を残し、マルクス達は帰路に着くことにした。 が、何時間もかけてやっとここまでやって来たカルロスは、すぐにまた折り返して帰ると分かり、ぐったりとした。 「もう無理だ。ろくに休憩もせずすぐに帰るとか。あんなに苦労して、一体何しにここまで来たんだ?」 いやいやいや…と、マルクスは心の中で突っ込む。 言いたいことは山ほどあるが、ここは我慢だ。 「それでは今夜はここで一晩泊まっていかれますか?」 本当はプリムローズの待つ屋敷に帰りたかったが、仕方ない。 (すまん、プリムローズ。心配せずに先に休んでいてくれ) マルクスが心の中で詫びた時、カルロスのけだるそうな声がした。 「ええー?王太子がこんなところで野宿するとか、あり得ないんだけど?」 プチッと何かが切れる小さな音をこめかみに感じながら、マルクスはあくまでにこやかに話しかける。 「それではやはり今すぐ宮殿に帰りましょう。今からですと、そうですね。夜明け前にはたどり着けるかと」 「はあ?そんな、夜通し馬に乗っていろって言うのか?俺は王太子だぞ?」 だからなんだ? そもそもお前がお馬のおけいこをするからだろう。 お前がいなければ、もうとっくに屋敷に着いている頃だ。 と言えたらどんなにいいか…。 マルクスは目元に青筋をくっきり浮かべながら、口元だけ笑う。 「では詰所にふっかふかのわらを敷き詰めて、寝床を作って差し上げましょう。ログハウスのご宿泊体験ができますよ。いいですねー。自然の中で眠り、朝陽と共に目覚める。これぞキャンプの醍醐味!あはは!」 シラけた笑いが響き、マルクスは隣のサミュエルの腹に、ドスッと思い切り肘を食らわせる。 「うぐっ、そ、そうですね。キャンプ、最高!大自然、万歳!あはははは!」 その場の空気に耐えられず、二人はそそくさとその場を去り、わらを集め始めた。
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