4人が本棚に入れています
本棚に追加
『どの運命に転がっていくか、見届けるだけだ』
彼の言葉に入り口から入ってくるさくらを見つける。
俺は、すかさずさくらにバレないように隠れた。
「すみません。スマホの忘れ物を取りに来たのですが……」
「お名前、よろしいですか?」
「あっ、はい」
『お名前で失礼します。皆藤さくらさん、皆藤さくらさん。受付までお越しください』
「今、呼ばれたので行ってみます」
「わかりました」
病院の玄関入り口の案内窓口を通りすぎて、さくらは診察受付の窓口までやって来た。
「一週間前から、お腹の張りがあって調子がよくないと書かれているのですが、どの辺りでしょうか?それによって、何科を受診するか決まるので」
「えっ?」
「どうされました?」
「忘れ物のスマホを取りに来ただけなんですが……」
「スマホですか?それは、届いていませんよ。こちら、間違いですか?」
「いえ、私です」
「それでは、どの辺りが張っていますか?」
さくらは、困ったように首を傾げながらも症状を説明した。
受付は、さくらにふさわしい科を紹介する。
「お名前で失礼します。皆藤さくらさん、どうぞ」
さくらが案内された科の先生の名前は、藤代心陽。
間違いない。
さくらの担当医だ。
どうか、神様。
さくらの病気が……。
最初のコメントを投稿しよう!