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「接触したらいけないんだよな」
『当たり前ですが、この世界のあなたは今はお仕事をしています』
「わかった。どうにかする」
2024年4月7日、午前9時42分 。
いつもと変わらずに、さくらは洗濯物をベランダで干している。
さくらの病気がわかったのは、2024年6月7日。
さくらを診察した先生から、癌を告げられた。
余命は、40日。
先生が予言した通りに、さくらは死んだ。
入院した日、さくらの担当医は『後、2ヶ月早ければ手術が出来たのに』と俺に言った。
俺は、ずっと後悔していた。
この頃から、少しずつさくらの体調が悪くなっていたかも知れなかったからだ。
だったら、さくらを助ける。
そう決めた。
「ママ、持つよ」
「まだ、ママじゃないよ」
「もう、ママだよ。早く産まれてこいよ」
人の幸せは、誰かの不幸のうえに成り立つ。
隣人の姿を見ながら、そう思ったあの日。
俺は……。
『さて、どうしますか?』
「死神って、もっと醜い化け物を想像していた」
『おやおや。この私が醜いと言いたいのですか?』
「いや、あんたな綺麗だよ。生きている人間が、整形でもしなきゃたどり着けないぐらいの美貌だ」
『褒めたところで、これがラストチャンスですよ』
「さくらを助けられるのか?」
『さあ?どうでしょうか……』
銀髪の髪が風に吹かれて揺れる。
なんとなく。
なんとなくだけど、この運命を変えられない気がする。
いや、まだわからない。
とりあえず、俺は仕事。
仕事……。
……。
…………。
あっ!!!!!
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