火花の娘

「……凄い、ファンタジーじみた話だな……」
「……信じてないだろ？」
どこか引きつった笑みを浮かべられている。
しかも反応がぎこちない。

「いやいや、他でもない親友の言うことだ！信じてるって！……というか、友人についても話してたのか？まさか俺のことも……！？」
「……あ、確かあの子、火が好きだって言ってたから、俺の友達の父親が花火師だって話もしたようなしてないような……」
「なんだよ、俺のことじゃなくて親父のことかよ〜……」

見るからに残念そうに不貞腐れた表情をした親友をよそに俺は届いたアイスコーヒーを嗜む。
苦みが口内を充満し、目が冴える感覚がする。

夢に浸っていた感覚が一気に消失し、現実に引き戻されたようだ。

「……その子とは、他に何か話してないのか？」
先程までとは違い、少し神妙な面持ちになった親友に少しばかり驚いたが、俺は思い出せる限り言葉を出していった。