錬金術師と赤いもの

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それから年月が過ぎ……。 かつて弟子だった者は、今や立派な錬金術師として名を馳せる事になりました。 もちろんそれは金を作り出したり、不老不死を追い求めたりしたからではありません。その優しさと知恵で、多くの人を救済する事で知られる様になったのです。 村人たちは錬金術師の親切さをよく話題にし『その姿はいつも、あの老錬金術師を思い起こさせる』と噂しました。 そして毎年、師匠が亡くなった日。 その錬金術師は彼の墓を訪れ、一輪のバラを捧げます。 赤いけれど美しいバラを見て、今年も錬金術師は師匠の優しい思い出に微笑むのでした。
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