錬金術師と赤いもの

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山の麓にある小さな村に、とある錬金術師が住んでいました。 彼は年老いてもなお人々の生活に寄り添い、弟子と共に山へと薬草を採取に行っては病気や怪我を治す薬を作ったりしておりました。 二人も村人たちも、とても穏やかに暮らしていましたが……ある日の事です。 国王が使者を錬金術師の元に送り、一つの依頼をしました。 それは賢者の石――永遠の命と無限の富とをもたらすと言われる、伝説の錬成物――を作れ、というものです。 使者からは、こうも言われました。 「成功すれば、お前に莫大な報酬を約束する。しかし、依頼の拒否や逃亡は許されないものだと思え」 錬金術師は賢者の石を作る事の危険性をよく知っていました。 それを追い求めて、今までに多くの錬金術師達が命を落としたと伝えられていたからです。 とはいえ、国王の依頼を断ると弟子や村人たちに迷惑が掛かってしまうでしょう。 錬金術師は悩みました。
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