第三章 興味

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「日菜っ、もう大丈夫だからな……」 「……」 日菜子は何も言葉は発しなかったけれど、俺としっかり視線を合わせてくれた。 俺はゆっくりと立ち上がり、「日菜っ、行こう。おいで」 俺は日菜子の手を軽く引いて立たせた。 繋がれたままの2人の手。日菜子は俺の手を振りほどかなかった。俺たちはしっかりと手を繫いでいる。 「行こう」 もう一度声をかけたら、自分から俺の手をギュッと握りしめてくれた。 嬉しかった。 些細な出来事だったけれど、俺は舞い上がりそうな気持を感じていた。 俺は日菜子の手を引いて店内を後にし、店を出たところで日菜子を振り返った。 「今日はごめんな……。なんか話しをするって雰囲気じゃなくなった感じだけど、どうする?日菜子がもう帰りたいなら家に送っていくけれど……」 俺の問いかけに日菜子は真っ直ぐにこちらを見た。 「敦宏君は?」 「え?」 「もう帰りたい?」 「俺は――――まだ一緒にいたい。日菜子と、」 それは正直な気持ちだった。 日菜子が小さく笑い、白くて細い右腕が伸びてきて、俺の頬にそっと触れた。 ドクンッと俺の心臓が震える。 驚いて目を見開けば、き、その場に固まっていると 「すごい、汗」 日菜子の囁くような声耳に届いた 「え……」 俺は一瞬何の事だか分らなかったけれど、すぐに我に返り自分がずっと走ってきたせいで汗だくだったことを思い出した。 シャツの袖口で額の汗を拭い、「俺汗臭い?」と尋ねれば、日菜子が笑って首を振っていた。
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