第三章 興味

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「ねぇ、喉、渇かない?」 日菜子が俺に言ってきて、一瞬ポカンとしてしまった。 「ジュース、飲みたい。一緒に飲まない?」 日菜子が笑いながら俺を誘うから、単純な俺はそれだけでテンションをあげた。自分で思う以上に舞い上がった気持ち。 嬉しくなって、ぶんぶんと無意味なくらい大きく何度も頷いた。 すぐ近くにあった公園の入り口の自動販売機で、ジュースを2本購入。 それから公園内のベンチに移動。 隣に座った日菜子にジュースを手渡すと「ありがとう」と小さく笑った。 俺もゴクリと一口、喉を潤す。 公園内は人のいる気配はなく、とても静かだった。 さっきの出来事が嘘みたいな穏やかな時間が流れている。 けれど、無かったことにはできないし、そうはならない。 だから――――、 「日菜子、今日はごめんな……」 「え」 「俺が遅くなったせいで……変な奴に絡まれたろ?」 「……」 長い間の後、日菜子が首を左右に振った。「敦宏君のせいじゃないし」 ボソッと小さく抗議のように呟く。 「何もされなかったよな?」 心配で聞いてしまった。 「ちょっと髪と手を触られただけ……大丈夫」 日菜子が自分で自分の手をそっと握りしめる。 なんだか不安を自分でやわらげようとしているかのように見えた。 「日菜っ」 名前を呼び、日菜子の手をそっと上から握った。 日菜子がピクッと肩を震わせ、一時停止。 俺は反対の手を日菜子の後頭部に回し、自分の胸へと引き寄せた。
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