第三章 興味

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トンと日菜子の額が俺の胸にもたれかかる。 もちろんこんなことをしたのは俺の人生の中で初めての出来事。 けど、そんなことは頭の中にかけらもなかった。 これは全て思うがままの無意識の行動。 日菜子の髪にそっと触れる。 「怖かっただろう?もう大丈夫だから……」 日菜子を少しでも安心させたくて、俺はそう囁きながら日菜子の髪をゆっくりと撫で続けた。 日菜子から身体の力が抜け、その細い体も俺にもたれかかる。 少しは緊張が解けたのかもしれない……。 俺もホッとして……、そのままそこで日菜子の髪を撫で続けながら、さっきの店内での出来事を思い返していた。 よかった……。俺、ちゃんと間に合ったよな? ギリギリセーフだった感がぬぐえないけれど、間に合ったって言っていいよな? 日菜子が絡まれているのを見た時、本当マジで心臓が止まりそうになった。 一瞬で頭に血がのぼったし、久しぶりに我を見失いそうになった。 まったく、俺もまだまだだな……。 学生ばかりのあの店を選択したことが間違いだった。 もう反省の一言だな。 それにしても――――、日菜子にすり寄ってた奴も、手をつかんでた奴も、思いだしただけでムカつくな。やっぱり一発ぐらい殴っとけばよかった。 後悔。 マジで殴っておけばよかった。 でも手を出したらまた部活禁止だな。
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