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あれ?
びくともしない。
細そうに見えるのに……やっぱり男の人なんだな……。
でも諦められない――――、って必死に腕を何とかしようとしていたら、敦宏君がプッとふきだした。
え?
おまけにケラケラと笑いだす。
な、何?
呆気にとられた私を散々笑い飛ばした敦宏君は、今度はあっさりと腕を解き、
「そう、怒るなよ、ちょっとふざけただけだからさ、」
そう言って残りのジュースをグイッと飲み干した。
ポカンとしたままの私を置いて、空き缶を捨てに立ち上がる。
そして戻ってきた敦宏君は私に笑って右手をさしだした。
え?
しっかりと目を合わせ、
「行こう」と一言。
行くってどこに?
帰るの?それともどこかに行くの?
聞きたいことはたくさんあった。
でもどれも言葉に出せなくて、
「日菜っ、行こう」
手がさらに私の方へと近づく。
それは、あらがえないっような甘い誘いだった。
彼が本当に嬉しそうに無邪気に笑っているから――――、私はおずおずと手を伸ばす。
指先が触れた瞬間、ぎゅっと握りしめられた手。
何故かつかまれたのは手のはずなのに、ギュッと胸の奥が締め付けられたような感覚。
その不思議な感覚に私は頬を緩ませる。
敦宏くんは繋いだ私の手とは反対の手から缶を抜き取り、ポイッとゴミ箱に投げ入れる。
カランと音を響かせて、上手く入ったことに小さくガッツポーズ。
顔を見合わせて私たちは笑いあい、「行こ」と歩き出した。
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