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しろとくろ
色とりどりのクレヨンで絵を書いていた幼い息子がふと立ち上がり、
「この子とおともだちになりたい」
と、我が家のテレビに映る自分と同じくらいの歳の頃の男の子を指さした。また唐突になにを言い出すのだと思いつつ、理由を尋ねる。
「だってあの子のところには、しろとくろのものしかないんだもん。それじゃお絵かき、たのしくないでしょ? ボク、あの子とおともだちになってこのクレヨンかしてあげて、いろんないろをおしえてあげて、それでいっしょに、お絵かきしたいなぁ」
いかにも子どもらしい発想に、思わず吹き出してしまう。
「そうだな。そうしたらきっと、ふたりとも楽しいだろうな」
返し、息子の小さな頭部を撫でてやりながら。
モノクロテレビに、視線をやった。
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