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「――会長! 会長!!」
金切り声に起こされ、ワシは苛立ちながら声の主を見た。
「なんだ、お前、どうしてワシの寝室などに来たのだ。そんな事まで許可した覚えは……」
「それ所ではございませんよ! 会長、これを御覧になって下さい!!」
屋敷に常駐している役員の一人に言われるまま、ワシはテレビの画面を見る。……が、勿論こんな状態では『眺めている』だけに過ぎない。
大体、今は一体何時なのだ。起きたばかりで目も満足に開かんし、取り敢えず眠い。
「……お前、もう良いから寝させろ。ワシは朝に弱いんだ。頭も働かんし、もっと……」
『貴様に資金を渡していたのは純粋にワシの利益の為だけだ!!』
「――ぬ!?」
一気に目が開いた。テレビの端から『五時三十八分』という時刻も読み取れる。
けれど、そんな事よりも気にするべきは、テレビが伝えている内容だった。ニュースの見出しには、ワシの名前が書かれている。しかも『援助という名の詐欺行為』だと?
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