memory1 ラスト

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ロボットの歴史。それは、簡単な動作しか出来ない物に始まり、僕の様に自立思考が出来る物が現れるまで……年月で言えば、結構な長さがある。しかし今に至るまで変わらないのは、『人間とは厳密に区別するべき対象である』という事。 人間よりも高度な能力を持ったロボット達が、人間の振りをする。するとロボットを利用した犯罪の急増を招いたり、生物への冒決にも繋がるとの論争が起こる結果となり得るので、『そういう事はしてはいけない』 と法によって定められているのだ。 それなのに、この部屋。これではまるで、人間と同等……いや、絶対に一般レベルよりもここは豪華な部屋だ。そんな所に僕を住まわせるなんて、もし見つかってしまったらマスターが咎められるだろう。 そんな僕の思惑を知ってか知らずか、マスターは笑いながら答えた。 「大丈夫よ。この城の中には、絶対に不審な人間を入れたりしないから」 「えっ? ここって、お城の中だったんですか?」 「そうよ。……ごめんね、本当はこの城の見取り図や周辺の事なんかも予め教えていれば良かったんだろうけど、それじゃ私の説明が要らなくなるから……面白味が無くなると思って、省いたのよ」
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