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ワシが羊羹の最後の一口を食べようとした時、ダイニングルームの扉が荒々しく開かれた。 そこに目をやると、鼻息も荒い様子で星那が立っている。ワシは羊羹と共に箸を置き、星那へと向かって笑ってみせた。 「おうおう、どうしたのかね? 何か嫌な目にでも遭ったのかい?」 「ええ、そりゃあもう嫌ぁな目にね」 そう言って星那はワシを睨み付けてくる。……八つ当たりか? これだから子供は好かんのだ。 「それは困った事だね。星那ちゃんを不機嫌にするなんて、一体どこのどいつの仕業なんだい? ……おじちゃんに話してみてごらん」 「良いの? 本当に話しても」 「勿論だよ。星那ちゃんは、今ではワシの本当の子供みたいなものなんだから。遠慮はいらないよ、言ってごらん」 「じゃあ言うわ」 星那はこちらへと近付いた。しかもその目は、未だにワシを見据えたままでだ。……気に食わん餓鬼め。 「……おじさん、人物認識システムの事よ。どうして私にナイショで特許権を取ったの?」 ――チッ、もう嗅ぎ付けられたのか。意外と早かったな。
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