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「そうだろう。あの頃でこそ世間ではお前の事が取り沙汰されていたが、それも一時の事だ。いずれ、誰もお前の事を見向きもしなくなる。……いや、今でも既にワシ以外でお前と話す者はおらんのではないか? お前は昔から暗い奴だったからな」
星那が苛められていた様子を思い出して、ワシは声を出して笑った。
しかし、
「……そうでしょうか?」
と、星那にはまるでこたえる様子が無い。
「ええい、かわいげの無い餓鬼め……。少しはしおらしくなってマシになったかと思えば、一向に癪に障る態度は変わらんな!」
「え、おじさん……私の事、お好きでは無かったのですか?」
「誰が貴様なんぞに情を寄せるか、この馬鹿餓鬼が! 貴様に資金を渡していたのは、純粋にワシの利益の為だけだ!!」
「そんな……」
「今までに貴様のデータから盗んだ特許は、かれこれ二十くらいか? しかし最近は碌なアイディアも出なくなっている様だからな、世間体が無ければとっくに追い出してやっている所だよ!」
「金を儲ける道具として役に立たないのなら、子ども一人の生活費を出すのも惜しいんですか? おじさんは、大企業の会長さんなのに……」
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