永遠(とわ)のとびら

2/9
前へ
/9ページ
次へ
   ドアの向こうは、青い海中だった。  私は驚いて、ドアと海中の境に手を伸ばしてみた。    ドアと海中の境は、表面張力で水がぷるぷると震えている。  仕組みは分からないが、ドアのこちら側には、水は一滴もこぼれていない。  手を差し込むと、ちゃんと冷たいし、手が濡れた。   「へんな世界だなぁ…」  私は、海中に顔をつけ、水の中を覗いた。  小さな泡がこぽこぽと、沸騰するように水底から吹き出し、踊るようにくるくると海面へと浮き上がっていく。  頭上に目をやれば、銀色の小さな魚が輪を作り、ぐるぐると旋回しながら螺旋を作る。  まるで、魚と泡がダンスをしているみたいだ。  海上からは太陽の光が差し込んで、水中は青と白のコントラストが美しい。  私が視線を動かすと、人影が、銀色の魚のそばを泳いでいる。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加