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絹のような黒髪が広がり、ニキビなんてない真っ白な肌、人形のような小さな手足がよく水面に映えている。
それは永遠先輩だった。
「永遠先輩!」
私が叫ぶと、永遠先輩は
「やぁ、あずさくん」
と口を動かして微笑む。
永遠先輩は精巧な人形のように整った顔をした美女だ。
それも、あまり喋らないうえに、真っ赤な唇が蠱惑的すぎて近寄れない、不思議系の。
そういう先輩だから、こんな奇妙な世界に現れたのだろうか?
私は海中に飛び込み、永遠先輩の元へと泳いでいく。
海中なので言葉が聞こえないが、永遠先輩は楽しげに嗤っている。
永遠先輩は、魚とひらひらと優雅に回遊すると、そのまま羽が舞うように海底へと潜っていく。
私がその後を追うと、永遠先輩は海底の珊瑚のうえに建った、もうひとつのドアの前へと泳いで行った。
そのドアも同じく古ぼけたドアだった。
永遠先輩が、ドアノブに手を掛け、ドアをがちゃりと開けたので、私はついていった。
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