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三人はタコが大きく口を開けた、トンネルのようになっている遊具に駆け込む。
崇道は入り口に右手をかざした。
『隠、密封』
言葉に応じて、崇道の右手中指にしていた指輪から光の膜が広がり、やがて何もなかったかのように消え失せる。
そこへ迫る足音。
崇道とナミは、指を口の前に立てる。
少女はこくこくとうなづいた。
「どこへ行きやがった!」
足音が、入り口に近づく。
「ここか!」
男が一人、入り口を覗き込んだ。
「ひっ……」
少女が思わず声をあげそうになり、ナミが口を手で覆う。
しかし、男は、
「ちっ! ここにもいないか」
と吐き捨てて、どこかへ走っていった。
中に、崇道とナミ、そして追いかけていたであろう少女がいたのに。
気配が遠ざかると、張り詰めていた空気が緩む。
「とりあえず、何とかなったかな」
崇道は、少女に向き合う。
「ケガは?」
「あ、してないです。どこも」
答えたきり、少女は黙ってしまった。
いろいろな事が起こって、パニック状態なのだろう。
崇道は、後ろ頭をガシガシとかく。
「とりあえず、自己紹介かな。俺は、進藤崇道」
「ナミでーす」
「……田城唯子、です。あの、進藤さんは……」
「崇道でいいよ」
「あ……崇道さん達は、何をしている人なんですか?」
「「よろずや」」
「よろず……や?」
崇道とナミは、うんうんとうなずく。
「そうだよ〜。お年寄りのお買い物代行とか、お話し相手や掃除」
「犬の散歩や、迷子になった猫の捜索……と、まぁ、何でもやる、便利屋っていうか、何でも屋っていうか、そんな感じかな」
「なるほど……」
ナミが崇道に、すすっとよる。
「タカちゃん、この子って……」
「……『柱宿り』だよな」
「だよねぇ。だけど、本人よくわかってないっぽい……?」
唯子が、ぴくりと反応する。
「何か知っているんですか!」
「あ〜」
「教えてください! 急に追いかけられて、すごく怖かったんです。だから、何が起こっているのか、知りたい!」
崇道は再び入り口に右手をかざす。
『開封』
光の膜が、すぅっと消える。
「ナミ、とりあえず、安全確保」
「らじゃー!」
ナミは入り口から出ていく。
崇道は、スマホを取り出すと、とある番号をタップした。
「佑さん? 俺。……会ってもらいたい子がいるんだ。これから、連れていくから……ちょっと緩めておいて?」
そこで、ちらりと唯子の方を向いて、ふと、笑う。
「問題ない。大丈夫」
通話を切ると、崇道は改めて唯子を見る。
「ちゃんと説明出来る人のところに連れていくよ」
崇道は唯子に手を差し出した。
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