甲子園まで、あと1イニング

2/25
前へ
/25ページ
次へ
 俺は牽制球を投げる。 「セーフ」  一球牽制しておくことで、相手のリードの幅を小さくしておく。  さて、盗塁してくるとなると、初球は打ってこないはず。  外角高めの速球で、ストライクを稼がせてもらうか。  俺は投球する。 「ストライク!」  すかさずキャッチャーは立ち上がるが、敵は盗塁してこない。  敵打者はバントの構えを取った。  俺達はバント対策の守備位置につく。  ファーストとサードは前進。ショートはセカンドに入り、セカンドはファースト寄りに立つ。 「リーリーリーリー……」  敵のファーストコーチャーが、またしてもうるさく煽ってくる。  バントエンドランを警戒し、一球、牽制球を投げておく。  打者への2球目。  俺は内野フライを打たせるために、あえて高めを狙って投球。  カツン!  しっかりバントしてきやがった。  ボールは俺の方に転がってくる。  キャッチャーが叫ぶ。 「ファースト!」  俺は打球を拾い、ファーストに投げる。 「アウト!」  2塁は?
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加