甲子園まで、あと1イニング

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 バスター?  打者はバントをやめて普通に構えやがった。  バントの構えは偽装だったのだ。  バント対策として投げたインハイを狙い打ちされた。  カキーン!  バントシフトが仇となってしまった。  ショートの守備位置が空いているので、そこを狙われてしまったのだ。  打球は2・3塁間を抜けて外野へ。  レフトが突進して球を拾い、すかさず3塁へ送球。 「セーフ!」  くそう! やられた!  1アウト、1・3塁。  あと1(イニング)で甲子園というこの状況で、3塁まで取られてしまった。  まずい……  深呼吸しよう。  よし!  次は8番打者。ダブルプレー(ゲッツー)で試合を終わらせよう。  遠くへは打てない打者だと思うが、まだ1アウトなので犠牲フライを打ってくる可能性がある。  ホームインされれば同点になってしまう。  フライだけは絶対に打たせてはだめだ。  となると、低めの配球でいくしかないか……  敵が長打に自信がないなら、スクイズの可能性の方が高いか。  高めに投げて打ち上げさせ、ゲッツー狙いも魅力的。  高めでいくか、低めでいくか、迷うところだ。
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