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──Kさんへ──
写真ありがとう。サッカーをしていたんですね。
Kさんが実在する人だとわかって安心しました。なんだか、女の子に人気がありそうですね。
今日、次の舞台の脚本が配られました。
次はコメディです。イメージは家族が出てくる日曜日のアニメみたいな感じ。
再来週、オーディションがあるんだけど、自分がどの役がしたいかわかりません。
主役は明るい主婦なのですが、旦那さんに不満を持っている設定です。
前なら、主役をやりたい! って手を挙げていたのに、今は自分に自信もやる気もあるのか分からないのです。
何でもできる、何でもやりたい。
あの頃の私はどこへ行ってしまっんでしょう……。
──Uさんへ──
僕が実在するって安心してもらえて良かったです。
やっぱりサッカーやっていたように見えますよね。実はボールを買ってもらっただけで結局やりませんでした。|(カッコ悪い! )
女の子に人気があればいいんですが、そもそもいつも関わるのは、すごく年上の方ばかりで……。Uさんが一番年の近い異性の友人かもしれません。|(すいません。友人と言っちゃっていいですか? )
オーディションがあるんですね。
日曜日の国民的アニメのイメージかな?。
Uさんが演じると、どんなの風になるのか見てみたいなぁ。
でも、どんな役でも応援します!
もちろんファンなので出番が多い方が嬉しいけど、応援する気持に変わりはありません。
自信持ってください。
Uさんの言葉は心に響きます。
演技のことも舞台のことも、何も知らない僕が言っても信用できないと思うけど、僕がファンになったのが証拠です。
何でもできる、何でもやりたいあなたは、今チョットだけ隠れているだけですよ。
──Kより──
私は手紙を胸に押し付け、唇をきつく引き締めた。
地下鉄の中だったから我慢できたけど、周りに人がいなかったら泣き出していたかもしれない。
読んだ手紙を封筒へ戻そうとすると、中にもう一枚紙が入っているのに気づく。
──お会いしてお話できませんか?
土曜日正午から夕方まで地下鉄の三番改札前で待っています。
そう書いてあった。
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