1.始まりの手紙

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 大都会で田舎娘は現実を目の当たりにする。  大きな舞台で受賞経験もある既に高く評価されている人、芸歴と年齢が同じ経験豊富な人、テレビで見かけたことのある知名度の高い人……田舎にはいない沢山の猛者がひしめき合っていた。  田舎の有望美人女優もそこいらの塵あくたの一人に過ぎなかった。  有名な劇団のオーディションは全て不合格。  手当たり次第、入団オーディションを受け、ようやく弱小劇団である今の劇団に行き着いた。  正直、周りと自分の真剣さの違いに愕然とした。それでも演技は好きだったし、こんな私でも、努力していればいつかは陽が当たると希望を持っていたのだが、未だ芽が出る様子はない。  最近は、ただ惰性で続けているような気すらしている。  大きな劇団のことは知らないが、うちの劇団の公演のチケットはノルマ制だ。  捌けなければ買い取り。こっちに知り合いもいない私にはそこそこ大きな出費になる。  出費が悔しいのか、応援のいない自分が寂しいのか、ただ無駄にするよりは……と引き出しからチケットを取り出し、ペンを取った。
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