アンジェリカからの依頼

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アンジェリカからの依頼

だから何で僕を呼び出すんですか?大陸ならいくらだって同業者がいるでしょうに 僕とアンジェリカは名前もよく知らない港町へと急行列車に揺られている 当然の事、でもないが二人っきりで、彼女はキャリーケースに窮屈そうにしている 「しょうがないでしょ!報酬が安いから何処も受けなかったから私達が受けなきゃ!」 皆が拒否った件を何故受けなきゃならないのか… せめてものお詫びのつもりなのか、急行列車の個室にしてくれているのは何かと有り難いですが 人様の前で猫と喋ってたらアブナイ人にしか見えないでしょう! 一応小声で日本語でやり取りしてはいるが、知らない人に見られたら尚更、ねぇ 列車に乗り込んで以来、何度となく繰り返して来た会話を僕達は飽きもせず遣り取りしている 「個人からの依頼だからどうしても、ね…」 …思わせぶりに口籠ってるようですが、魂胆は丸見えですから まあ、この列車に揺られている以上?僕は受けざるを得ないわけですが で? 「詳しくは…」 アンジェリカが言いかけた時、急行列車がガクンと、本当にガクンと揺れた どうやら停車駅が近いらしい 窓からは地中海の潮風が心地よく吹き込んで来る 「あ、ダテさん次で降りますよ?」 はいはい… 僕は向かい側の座席に置いた一泊旅行には大き過ぎるボストンバッグを左肩に、右手にアンジェリカ入りで重くなっているキャリーケースをぶら下げて席を立った 「詳しくは依頼主に直接聞いてくださいね?スペイン語、出来るんでしょ?」 そう 僕は真夏でも涼しく過ごせるヘルシンキから陽射しの強いスペインに連れられて来たのだ 正直、言いたいことは山のようにある!ただ、いつも通り弾丸使用は無制限、少々の破壊活動も大目に見る、そう言われては、ねぇ… それにことお金に細かいアンジェリカが「安い」報酬を受けたのが気になりまして ここだけの話、僕はアンジェリカ経由だけでなく、スペイン王室に近しい部署からも個人的に受けているんですが、そっちは報酬を弾んでくれるとのことなので俄然やる気になったワケです
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