展開早いけど早速担当に

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展開早いけど早速担当に

 と、決心した大学二年時から早二年。  俺は目標としてた編集社に就職していた。大学も地元で自宅から通ってたのに一人暮らしなんて大丈夫?と散々親にも俊ちゃんのお母さんにも言われ…少しは自炊出来ますアピールで、何度か夕飯を食べてもらってやっとオッケー.が出た。  なんでか俺の周りは俺に過保護な人が多い。その筆頭が俊ちゃんだったんだよなぁ。  入社三ヶ月は大人しく言われた仕事をこなすのに、慣れるのに精一杯だった。そんな中でもshun先生の漫画を読んだりファンレターは欠かさない。  三ヶ月経ち、大体の流れが見えてきて、まだまだ下っ端が言うには恐れ多いと思ったけど、編集長と今の担当さんにshun先生の担当になりたい旨伝えた。   元々採用試験の面接の時も、その辺を熱く伝えたから編集長は分かってるはず。少し考える素振りをしたから、その日からshun先生の担当になりたい猛アピールを始めた。  現担当さんにはshun先生のことをさりげなく聞き出す作戦も決行。  曰く、俺より一つ年上、優しい顔立ち、悪く言えば頼りなさ気なイケメン。身長は175センチくらいで細身。  染めてない髪はサラサラしてるものの、毛先だけ少し癖がある。  聞けば聞くほど俊ちゃんに間違いないと思った。  自分の仕事をこなしつつ、毎日編集長に猛アピール。その甲斐あって、一ヶ月後にはshun先生の担当になることが出来た。 軽く引き継ぎを終えて、今までの担当さんに呼び止められた。 「亮二、shun先生には何が足りないと思う?先生の作品はキュンキュンしますって声は沢山届いてるんだ。なのにヒットしない。なんだと思う?」 「そんなの簡単です。この雑誌に載ってるどの連載よりもエッチな描写が少なく、あったとしても匂わせ程度。リアリティもない。これが問題点で、これさえクリアすれば雑誌の中で三本指の柱になれるくらいのものが描ける方だと思ってます」 「その通りだよ。俺も担当して色々スケベなものを見せたんだけど、その辺だけが成長しない。大変だと思うけど頑張れよ。お前のshun先生への熱意は俺も編集長も買ってるからさ」  熱意はすごいと思うよ。ここまで追いかけてきたんだから。  待ってて俊ちゃん。普通に俺が担当になったって挨拶に行くだけで驚くと思うけど、それ以上に驚かせてあげるからね。
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