展開早いけど早速担当に

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 前担当さんから最終引き継ぎをして、ある決意をしてshun先生宅へ。  駄菓子好きな人だから手土産駄菓子でも良いかもと聞き、もう完全に俊ちゃんじゃん!て確信を持って駄菓子を買い込んで一旦自宅に戻って準備をしてから聞いていた住所に向かった。  これで別人だったら挨拶して手土産だけ置いて初日なのでって言い訳して速攻帰ろう。  俺の俊ちゃんセンサーは完全に本人って言ってるけどね。  7月も半ばに入り毎日汗ばむ陽気。暑さと興奮で湿ってきた手のひらをタオルハンカチで拭いてからチャイムを鳴らした。  ピンポーン。 「…………はい。………えっ?!」  一度のチャイムで程なくして応答してくれた声の後には驚きの声。 「はじめまして〜。今日から担当になりました井上亮…………」 「亮二?!」  挨拶をしてたら途中で慌ただしい音とともに玄関が開いて、中に引き込まれた。  わっ、俊ちゃんてば相変わらず頼りなさ気なイケメン。  メガネ姿にサラサラしてるはずなのに寝癖のあるぼさぼさ髪。俺の大好きな俊ちゃんだ。 「えい!俊ちゃんのばかばかばか!なんで俺を置いて急にいなくなるわけ?俺が俊ちゃんの絵大好きなのずっと知ってたでしょ!こんなことになったなら近くで、一番近くで応援したいのになんで!ばか!俊ちゃんの大バカ者!おたんこなすー!」 「亮二…はぁ……前任の田中さんから熱心な新人さんに代わるって聞いてたけどまさか…漫画好きなのは知ってたけどピンポイントで俺が描かせてもらってる雑誌の編集さんになるとかまさかすぎんだけど…」 「ふんっ!そんなの俊ちゃんの部屋で雑誌見つけたからに決まってんじゃん!」 「あ〜…………見つかったか。…………未練がましく手がかり置いてきた俺が馬鹿だったか。お前の前から居なくなるつもりだったのにな」  困り顔で俺を見下ろす俊ちゃん。なんで俺の前から居なくなろうとしたんだろう。仲良しだと思ってたのは俺だけだったのかと悲しくなってきた。それでも抱きついてるのはそのままにしてくれるのは俊ちゃんが優しいせいだからなのかな。優しさから俺の隣に居続けたのかな。ほんとは隣に居たくなかったの、言えなくて俺に内緒で出てったのかと思うと目頭が熱くなる。  それでも離したくなくて、ギュッと両手に力をいれて俊ちゃんの背中を抱きしめた。
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