《第》《壱ノ爪〜《屍喰らい》

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仄暗い湖から這い出す様に虚ろな目をした少年は…まだ8つにも満たない…子供だった。生まれながらに宿した力は恐ろしく…周囲の人々も…そんな彼を疎ましく感じていた。そして…少年の父親と思わしき男もまた同じで… そんな少年に畏怖していた。それ故に男は…彼を自分の子供だとは流布しなかった…。 四つから…六つまでの年月を薄暗い…座敷牢の様な場所で過ごした…その場所は暗く荒んでいて 蝉の声が何処からともなく聞こえてくるそんな場所だった。そしてまるで初めからそこに居なかったかの様に扱われた少年の心は酷く…荒んでいた…寵愛を受けて育った…二人の兄とは対象的に…親からも見放されていた少年に… 世間を憎むなと言うのは無理だったのかもしれない…それ故に蝉が煩く泣き喚く七度目の晩…今まで溜め込んでいた物が溢れ出すように…一気に弾け飛んだのだ…。その時の波動は…大きな屋敷を丸々消し飛ばす程に強大で…
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