結果発表

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結果発表

 再試験は1次2次3次と全て連日実施され、途中選考を行わず最終日に次期君主の暁明より全員の前で発表されることとなった。  第六小国の後宮前の広場にて30人ほどの選考人や関係者が見守る中、受験者10人が座り発表を待った。 「これより、暁明様から四貴妃最後の1枠の合格者を発表していただく」  暁明が厳かに皆の前に現れた。  静まり返ったこの張り詰めた空間の中、皆の呼吸が荒くなり、生唾を飲むことすら困難になる。 「合格者は、1名。曽家の可馨(クゥシン)。心して励め」  どよめく会場。  湧き上がる歓喜。  実技試験での美帆の踊りを見た者は、とても信じられないという顔つきだった。 「尚、1次2次、最終試験ともに満点を取った李家の美帆であるが……」  暁明の言葉に皆静まり返った。 「これほど完璧な者が四貴妃に、正妃になった暁には私が皇帝に就任する頃にはその利発さで実権を握られる恐れがある。しかし、みすみす片田舎に追いやるには惜しい人材だ。彼女は中央都市の国の機関へ推薦するつもりだ」  再びどよめく会場。  中央都市の機密機関へ就任となると、その重要性から完全に正妃への道は閉ざされることとなる。  しかし、美帆は深くお辞儀をし「謹んで、お受けいたします」と了承した。
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