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高校を中退したのは、後悔なんてしていない。
あの空気が、嫌だった。
どんな?っていわれるけど、あの空気としか言いようのない独特の学校の空気。
酸素じゃない、重くて湿ってやりきれない。
空気っていいながら、酸欠になって息が出来ない。
そんな空間。
私は口をぱくぱくと動かして水面から顔を出す金魚みたいに、学校で溺れそうになっていた。
出会い系アプリで、六歳上の旦那さんと知り合うのにそう時間はかからなかった。
すっごく大人に感じた。
誰か違う人になれる気がした。
あっという間に妊娠して、結婚して、学校辞めた。
そんな計画性のない奴を、大人の男とはいわないとしばらくしてから気がついた。
お金もたいして稼げない、私達を自分で養うことのできないうだつのあがらない男だった。
なんでこんな男が、きらきらして見えたんだろう?
魔法が解けるのは、あっという間だった。
現実は、夢にすぐ追いつく。
子どもが生まれて、スーパーに勤めた。
昼は母さんが面倒をみてくれたり、今は幼稚園に通ったり。働く環境はできてるのに、気持ちがついていかない。
今は行けなくなって、パートにしてもらってる。
それでも、やっぱり行けない。
中学の時ちょっとやってたリスカ癖が、また顔を出した。うつ病って診断された。
産後のうつ?そうなのかぁ…。そうなのかも。
いわれれば、そんな気がしてくる。
子どもの治療でペアトレしてくれてる看護師さんが、無理しないでという。子どものために、自分を大切にって。優しい人。
旦那さんも、お金はないけれど優しい。
優しいけれど、お小遣いをくれない。
そんな余裕ないから。
私の微々たる稼ぎも、養育費に使わないとやっていけない。
リスカは、お金のかからない娯楽なのかもしれない。
あとは携帯。
課金しなくてすむSNSで、泳ぎまくる。
そんなひとつが、無料で読める小説サイト、『マイスタ』だった。
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