幼馴染なんて単なる偶然だ。運命じゃない

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 おいおい君嶋、またやるのか? まあ、周りも期待の目で見ていて誰も次にチャレンジしようとしていないみたいだが。おっ、今度は5枚か。並んだな。  それなら俺も。  俺は二度目の挑戦で6枚落とした。すると君嶋はもう一度やると言って金を払った。  君嶋の三回目は7枚。とうとう俺を超えやがった。なんて顔だ! 勝ち誇った顔で俺を見てニヤついていやがる。俺が負けたまま引き下がるとでも?  俺も三回目の挑戦をした。今度はなんと3枚だった。マジか?  君嶋はさらに口の端を大きく上げてニヤニヤしている。口が裂けるぞ? 真凛を見ると、今度は君嶋の方にあの電飾の瞳を向けている。くそったれ! 「もう一回!」俺は金を叩きつけた。  俺の四回目は9枚だった。ざまあみろ。さっきは油断しただけだ。これこそ俺の本当の実力。君嶋は帰って練習に励みやがれ。  ん? まだ諦めないようだな。キックターゲットは一回500円。既に1500円も払っているわけだ。金持ちの息子の俺にとっては屁でもないが、中流家庭の中学生にとっては痛い出費だろう。よくやるぜ。  おっ? あいつマジでやりやがった。11枚だと? あと一枚じゃねーか! ちょっと興奮したぞ。  周りに集まっていた観衆も、俺たちが始めた頃に比べて三倍近くに膨れ上がっている。どよめきも通行人を呼び止めるほどの大きさだ。そりゃそうだ。へたしたらパーフェクトだったんだ。  これはやらざるを得ない。俺は奮起した。
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