ランプの精霊

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 この場合も、綺麗の水準が微妙だ。特定の誰かを指定して、恋人になりたいと願った方がいいか? 「所詮、人間なんて皆そう……優しい言葉は表面だけで、結局は自分本意……」 「だぁぁぁぁ! うるせぇ! 分かったよ、分かった! 自分本意ではなく、お前の願いを叶えてやる! それでいいだろ?」 「本当!?」  はじけるような笑顔で、喜びを表現する。  そこまで悲観的になる容姿ではないし、この笑顔だ。普通に社会へ溶け込めると思うのだが。 「で、願いはなんだ?」  なんで、僕が願いを叶えるランプの精霊に、願いを請わないといけないんだ?。 「私の願いを叶えて」 「だから、願いってなんだ?」 「だから、私の願いが叶って欲しいって願えばいいの」 「だから返しか!」 「いいから願ってよ! お腹空いた!」  なんだかムキになって、言い合いになってしまった。このまま言い合っていても、らちがあかないので、仕方なく棒読みで願う。 「ランプの精霊さん。どうか、僕の為に、ランプの精霊の願い事を叶えて下さい」 「全然、感情がこもってない」 「感情がこもってないと、願いは叶わないのか?」 「別に」 「なら、いいだろ」
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