第1章 カルマの日常~旅に出るまで。

2/2
前へ
/8ページ
次へ
第2話 鑑定魔法さえあれば! 「そうだ! 上限回数さえわかればいいのよ」  武器が許容する付与の上限。それがわかれば失敗することはない。  ある日、そう気づいたカルマは「鑑定魔術」こそが自分に必要な技術だと確信した。  どうすれば鑑定魔術を身につけられるか。 「こういう時は専門家に相談ね」  カルマは店を早じまいすると、町の魔術師ギルドへと早速出かけた。  直情型のカルマは行動が早い。思いついたら実行に移すのが彼女の長所であり、短所でもあった。 「ねえ、ギルド長。鑑定魔術を学ぶにはどうすればいいの?」    ギルドのトップを相手にするにしては随分となれなれしい。しかし、裏表のないカルマは周囲の人間から信用されていた。  年上の人間からすると、遠慮のない物言いも裏にある誠実さゆえに、気にならないらしい。  魔術師ギルドの長は「確かな方法は存在しない」といった。 「鑑定魔術というのは『世界の理』に直接触れようという魔術じゃからな。並大抵のことでは身につかんよ」  そこら辺に使い手が転がっているような術ではない。 「古い魔術書、スクロール、ダンジョンに湧く宝珠、エルフの古老、古代都市遺跡。これらのどこかになら、あるいは……」  ギルド長はまるで英雄譚に出てきそうな遺物の例を挙げ、鑑定魔術を知りたいならそういうものを見つけ出すことだと、笑った。 「それは不可能だ」  と、ギルド長はいったつもりだったが、カルマにはそう伝わらなかった。   (そうか。並大抵のことではないのね。でも、少しでも可能性があるなら、やるっきゃない!) 「ギルド長、ありがと! わたし、ちょっくら旅に出るわ」  カルマは一念発起して付与魔術の店をたたみ、鑑定魔術探しの旅に出た。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加