第3章 カルマの驚愕~刀に語りかけるって、そういうことじゃねぇよ!

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第2話 マジで答えるとは思わなかったよ!  カルマは人気のない路地裏に腰を下ろし、携帯用の砥石で刀の錆を落としてみた。  するとどうだろう。中から見たこともないほど美しい刀身が現れた。 「なんて美しい刃紋。山上の湖を覆う朝もやのように神秘的な『にえ』。それでいて地金は力強く、形は素直で飽きがこない。これが人間だったら、超絶イケメンね」 『随分とほめてくれるじゃないか。いささか照れ臭いのだが』  手の中の刀がカルマの頭に直接語りかけてきた。  驚いたことに声もイケメンで、頭の中には青白い細身の顔に切れ長の目、鼻筋の通った超絶美形のイメージまで浮かんでくる。 『わたしの名は朝霧。持ち主の寿命を縮める妖刀だ。短い付き合いだろうが、よろしく頼む』 「おい! いろいろあっぶねぇ情報をさらっと告げるんじゃねぇ!」  おしゃべりなイケメン妖刀は「朝霧」という銘を持つヤバい奴だった。  朝霧は元は人間だった。鍛冶師としての頂点を目指して日々研鑽を積んでいたが、技術向上について悩み過ぎて胃潰瘍をこじらせ、ぽっくり死んでしまった。  ちょうどそのとき打ち上がった名刀に、妄念にとらわれた朝霧の魂が憑りついてしまったのだという。  それ以来、妖刀朝霧は持ち主を転々と変え、そのたびに持ち主を変死させるという凶事を引き起こしてきた。 『キミは何日持つかなあ?』 「いやぁああ~! 捨てる! 捨てます!」 『それは無理。呪われてるから』 「何ですとっ?」  妖刀朝霧(イケメン)はきわめつきの呪物だった。
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