おじいさんは山へ芝刈りに……あれ？

　あのう、もしもし？ちゃんと繋がってますか？ああ、良かった良かった。
　ちょっとお尋ねしますけども。
　うちのおじいさんがね、山へ芝刈りに行ったまま戻ってこなくて困ってるんですよ。
　ああわたし、川沿いの一軒家に住んでる、せんたくのばあさんです。
　いやあほんと、このままおじいさんが戻ってこないのは困るんですよねえ。

　だってほら、そろそろ、川から桃が流れてくる予定でしょう？
　このままおじいさんが返ってきてくれないと、わたしひとりじゃ巨大な桃なんて引き上げられる気がしなくって……。
　ええ、だってわたし、ひ弱なおばあさんですから。とってもひ弱でございますから。

　桃を取り逃してしまったら、お話が始まらなくなってしまうでしょう？どうしたもんかと思いましてねえ。
　え？とりあえず、大きな網を漁師さんから借りてきてくださると？ああ、それは助かります。川にひっかけて、桃をせき止めるわけですねえ。

　ああ、それなら安心です。
　ぜひ、おじいさんもついでに探してきてくれると嬉しいですねえ。