親友?※

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親友?※

 真琴は唇で冬馬の甘い呻き声を味わいながら、貪る様にキスをしていた。あんな予想をしない様な態度を取るとか、反則過ぎて理性を吹き飛ばす。舌で冬馬の口の中を探れば、習った様に一瞬遅れて真似してくる冬馬が馬鹿可愛い。  中学時代から無意識に拗らせ続けた冬馬への執着を、親友と言う言い訳で隠して来たのだと自分でも改めて目が開かれる思いだった。  学校外の合コンで出会う女の子達にはまるで食指が湧かず、騒がしいだけで面倒だと感じていたのも、校内で誘われて関係を持った遊び相手の事を決して冬馬に知られない様に隠して来たのも、全て腕の中の冬馬への溢れる感情のせいだと自覚してしまった。  自分とは違う細い指先が自分の肌をなぞるのにも煽られて、冬馬の舌を優しく吸いながら真琴は手を動かした。  肌けたシャツの下から手のひらに感じる、自分より柔らかな手触りの素肌はなめらかだった。指を広げて目指すその突起物に辿り着くと、親指とひと差し指の腹を狭くしてそれをぎゅっと摘んだ。  途端に冬馬の閉じられた瞼がヒクヒクと動くのを見つめながら、真琴は更に顔を傾けて舌を冬馬の奥へと突き入れた。指の中ですっかり固く石の様になったその小さな突起は、休みなく手のひらで転がして指の先で何度も弾いた。  「…ん゛っ!ぁあっ!」  唇を離せば(こぼ)れる冬馬の甘い声に、真琴は焼かれる様な興奮のまま冬馬の胸に文字通り(かじ)り付いた。軽く歯を立ててしゃぶれば、冬馬は悲鳴の様な喘ぎ声をあげる。 「冬馬、声…。」  そう言いながら真琴は容赦なく目の前の小さな粒を可愛がった。じゅるじゅると真琴の立てる卑猥な水音が準備室に響いて、冬馬はすっかり腰砕けになってソファに埋もれている。  覆い被さった自分の腹に、冬馬の興奮して硬くなった下半身がズボン越しに触れて、真琴はチラッと顔を上げて冬馬を見た。そこには最近真琴の前で見せる様になった、懇願する様な赤らんだ顔の冬馬が自分を見下ろしていた。  冬馬に跨ったまま、真琴は素早く自分と冬馬のベルトを外すとズボンをズリ下げた。  途端に不安を滲ませた冬馬に気づいて、真琴は内心その顔がまた興奮材料だと思いながら精一杯優しい声で冬馬の耳元で囁いた。 「こんなにガチガチじゃ教室に戻れないだろ?別に犯す気はないから心配するな。…出すだけだ。」  それでも不安気に戸惑っている顔に気づかないふりをして、真琴はサッと冬馬のズボンを取り払った。汚すからと無意識に言い訳めいた事も呟いたかもしれない。  自分まで脱いでしまえば、逃げてしまうかもしれないと保険を掛ける程度には真琴は何処か冷静だった。ここまで来たんだ。冬馬を逃す様な失敗はしたく無かった。  下着越しにお互いに強張った股間を擦りつける様に腰を動かしながら、自分の下で快感によがる冬馬を見つめた。時々思い出した様に胸の先端を吸いあげると、冬馬の股間がビクンと暴れるのが嬉しかった。  けれどこれ以上濡れてはダメになる前にと、真琴は二人の下着からお互いのそれを取り出して一緒に握った。すっかり濡れたそれが直接触れ合うせいで、クラクラするほど興奮した真琴は冬馬の首元に顔を押し付けて息を整えた。  気を抜くと直ぐに逝ってしまいそうだ。すると冬馬が真琴の顔を両手で挟んで自分からキスを強請って舌を絡ませて来た。せっかくの我慢のひと息も虚しく、真琴は手も腰も馬鹿みたいに動かしながら痺れる様な快感に突き進んだ。  唾液に濡れた唇に重なる冬馬の絶頂の喘ぎを感じて、真琴も一緒に我慢を手放した。その耳鳴りのする様な強烈な解放感と一緒に、真琴の手の中は熱い粘液で濡れた。  ハッと身を起こしてキツく閉じた目を開けば、冬馬の白い腹に二人の白濁が飛び散って、真琴はこの惨状に呆然としてしまった。腹から赤らんだ胸の先端、所々赤い印のついた首元を視線で這い上がると、ぐったりと目を閉じた冬馬がキスで普段より赤く腫れぼったい唇を開けていた。  はは、最高の眺めだ。  真琴は自分の跡をつけられた冬馬の姿にゾクゾクするほど背徳感を覚えた。何も知らない冬馬をこの手で、じっくりと自分の欲望で染めていく事が素晴らしい事に思えた。  真琴がもう一度キスしようと覆い被さろうとした時、冬馬は目を閉じながら呟いた。 「お前、これ、どうするんだよ…。」  その掠れた声は真琴の興奮を煽るだけだったけれど、真琴はこれ以上汚さない様に立ち上がると足元の開いたダンボールからウエットティッシュを取り出して先に手を拭うと、テキパキと冬馬を綺麗にした。 「自分でやるから…。真琴はそれしまえって。」  そっぽを向いた冬馬にウエットティッシュを渡すと、真琴はまだ全然治まらない自分の股間を下着に仕舞った。冬馬がまた余計な事を考える前に、真琴はこの甘い状況を利用しなければならない。  さっさと身支度を整えた真琴は、まだシャツも着れていないソファの冬馬の側に膝立ちになると、優しい手つきでボタンをはめてやった。ああ、本当はずっと脱がせて可愛がっていたいのに!  「…ちょっとやり過ぎたか?嫌だった?」  冬馬と目を合わせない様にそう呟くと、自分のシャツのボタンをはめる真琴の手を見つめながら冬馬は呟いた。 「…お前だけのせいじゃない。俺もしたかったからこう言う事になったんだろう?」  襟から覗く冬馬の首が赤らんでいるのを嬉しく思いながら、真琴はぎゅっと冬馬を抱きしめて甘く囁いた。 「ふふ。男らしいな、冬馬。こんなに可愛いのに、ギャップ萌えだ。」  そう言いつつ、これ以上の深追いは悪手だと真琴は知っていた。そう、焦ることはない。少なくとも冬馬は嫌がってる訳じゃないのだから。
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