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「すみませーんー!!止まれない!!そこどいて!?」
「は!?なんだあの速度…って、止まれねーのかよ!」
「まあ、止めてやろうじゃないか。頼んだぞ夜」
「…俺かよ。」
夜と呼ばれている三角のイヤリングをした黒髪の少年は赤い紐のような物を俺に括りつけ、俺をローラーから引き離す。
「ふぅ、助かったよ!夜くん…だよね!」
「初対面から馴れ馴れしく接するな。というより、学外での能力使用は校則違反だ。」
「え?ごめん。夜くん身長的に小学生か中学生じゃ…最近の子ってしっかりしてるね!」
「は?俺は高校1年の風紀委員だ。覚えておけ」
夜くんは少し怪訝な顔をしつつも、どこか手慣れたような態度で俺をあしらう。多分何度も同じような事を言われてきたんだろうなぁ…
「夜と気が合う奴ではないか。」
「いやどこがだ。」
隣にいたどこか威圧感がある水色髪の青年は、落ち着きを払った低音ボイスで品定めするような目で俺を見つめてくる。…これは…
攻めだ!!
「そんなに見つめないでくださいよ!俺は掘られたくないです!」
「ほう、初対面でその様な発言をしてくるとは中々に思考回路がぶっ飛んだ奴だな。」
「本当に、一体何を言ってんだコイツ。」
キャア…ッ!といった茶番態度を取ると、青年は少し面白い動物を見るような目で、そして夜くんは引き気味に俺にツッコミを入れてくる。
「ふむ、これは風紀委員に1人は欲しい人材だ。」
「は?月讀正気か?コイツそもそも出会い頭なのに問題行動しか起こしてないぞ?というより、お前今日は何の用だ。」
「え?今日は入学式じゃ?」
「いや、明日だぞ。」
「えっ」
俺は慌てて入学案内を見る。…よく見てみると今日の日付だけど生徒会用と書いてある。
「あれ!?俺のじゃない!?」
「なんでお前がそれ持ってんだ。新入生は明日入学式だぞ。」
「ふむ、生徒会用の紙に見慣れない顔。今年1人転入してくると聞いていたな。確か夏希 光だったか。」
「はい!って、俺の名前を知ってるんですか!?」
「ああ、紹介が遅れてたな。私は風紀委員長を務めている2年の鸚焼 月讀だ。」
どう考えても2年の風貌ではないよなぁと思いつつ、差し出された手に握手を返す。
「よろしくお願いします!月讀様!」
「そこまで畏まる必要もないだろう。月讀でいいさ。」
「はい!月讀さん!よろしくね!」
「…とりあえず話は済んだか?この後俺達は巡回があるんだ。用事がないなら帰ってくれ」
痺れを切らした夜くんが俺を寮に返そうとする。だけどここまで来たし、せっかくなら月がお世話になってる生徒会を見てみたい。
あわよくば!!腐男子としてイチャイチャBLを脳裏に焼き付けたい!!
「お前また変な事考えてるな?」
「まっさかぁー」
「図星だな?やめとけ」
呆れたように夜くんは俺を見つめてくる。もしかして…っ!
「俺、腐男子だけどノンケだから男には興味無いんだ!」
「なんだそのカミングアウト…いや、俺もねーよ!」
「やはり、夜と光は息ぴったりではないか」
「「どこが!?」」
夜くんとハモってしまった…っまたフラグが立ってしまう!そんなことを考えつつ、この校門を突破する打開策を考える。
「あ!あそこにUFO!」
「そんな子供騙しきか…」
「おりゃ!!」
一瞬の油断のすきに俺は釘を小型モータに変形させ足に付ける。
「は?…やっぱりお前能力持ちか!!往生際悪すぎだぞ!」
「諦めが悪いのが俺の取り柄なんでね!あばよぉ!とっつぁん!」
他人の決めゼリフも多分、夜くんの心も盗み俺はモータを使い空を舞う…え?おかしい思った以上にあがる。
「お前さっきと似たモータ…なるほど、そりゃ失敗すんだろ。言わんこっちゃねーな!」
夜くんは赤い糸で俺を助けようとするが高すぎて出来ない…けど、門を突破出来たから結果オーライ!どう降りるかわかんないけど!そして、落ちたらどうしよう!?
「俺はもう燃え尽きたよ!!」
「どう考えてもその言葉はこの状況で言う言葉じゃねーだろ!死亡フラグで使うな!」
「全く、しょうがないな。」
月讀さんはぬいぐるみを取りだし液体をかける
「あそこで空を飛んでいるオレンジ髪のアホ毛だけじゃないアホを助けてやってくれ。」
するとぬいぐるみは意志を持ったように動き俺を捕まえ靴のモーターを外し地上に降ろしてくれる。ある程度降りたところで夜くんは溜息をつきながら命綱の様に糸をくくりつけ、ゆっくり下ろす。そう、まるで…
「俺、シー○になった気分だよ!」
「第一声がそれか…俺はバルスを唱えたい気分だがな」
「俺と一緒に!?」
「お前はムス○のサングラスになってろ。」
降り立った瞬間に解除して、夜は淡々と俺に怪我がないかを確認する。その横で月讀さんは少し震えているし口角は一応あがってるけど表情が見えない…。これまさか怒ってる?なんか、心なしか威圧感が増してるような…
「あ、夜くん!俺元気だから大丈夫!校内入れたし歩くの大好きだし散歩してくる!夜くん、月讀さんありがとう!」
そう言って脱兎の如く走り去る。逃げ足と証拠隠滅と記憶消す事は得意だからさっきの月讀さんの震えておこってた事は忘れよう!うん!そうしよう!
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