詩「祖母の家」

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ようやく雪が降ったと思ったら 布団のぬくもりは消えていた がらんどうになった 祖母の家に体温はなく 鬱陶しかった喧しさは 渇いた柱と 懐かしくすらあった ひとは小さい 大きくなったと思ったら また小さくなる そうして帰っていく 昔いたはずであろう場所に 雪が止んだ 庭はまた乾いていく 家は忠犬のように 祖母の帰りを待っている 帰るものを失った空間は また雪が降る前に 幽かな布団の体温が渇く前に 静かに眠りたい
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