私たちは特別

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「店長、奥さんほんとに気づいてない?大丈夫?」 「ああ、平気だよ。でもこの前ちょっと焦ったな。支払いの明細書が気になったみたいで、カードの履歴のことを聞かれたよ」 「うそ、ヤバいじゃん。やーだぁ、バレたら会えなくなっちゃう…」 「美緒は心配性だな。大丈夫だよ。コード決済の方がポイント付くとか何とかテキトウに言ったら『パパかしこーい』って笑ってた。そういうところ鈍感だからアイツは」 「え~奥さんかーわいーぃ。なにそれ~」 美緒の言う「かわいい」は「どんくさい」と同義だ。 「鈍くて逆にビビったわ。でも念のためちょっと支払いは気を付けてる。まあコード決済の方は明細あっちに出ないから平気だし、現金使えば足つかないからな。上手いことやるから大丈夫だよ」 「よかったぁ。でもほんと奥さんてかわいいんですね、店長のこと信用しきってるの?こんなに嘘つきなのにね」 「俺は嘘つきじゃないよ。本能に忠実なだけ。それにさ、アイツは自分のことに夢中だから、俺のやることには口出ししないの」 「夢中?」 「そ、仕事と、子どもと、あとは最近ジムに行くとか言って。筋トレしてるんだって。なんか俺、萎えちゃって」 「嫌いなの?」 「まあ別にメンテナンスは大事だけど、主婦がわざわざジムに行ったりするか?この前だってキッチンでプロテインの混ぜるやつ、シェーカー?あれ見つけちゃってさ。なんか、あれ飲んでるってだけで、萎えるよ」 「あ、店長ひどーい、奥さんがんばってるんじゃん。ケナゲだね、体のこと気にしてるの?」 「まあ、ちょっとぽっちゃりっていうか。まあ若くないし、美緒とは全然違うよ」 「店長それセクハラです。そんないけない上司は、こうだぞ~」 美緒は隼人の上に跨り、くすぐりながらキャッキャとはしゃぐ。 そのうち隼人の手が美緒の体を這うと、はしゃいだ声は甘ったるく大きくなっていった。
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