『不幸せのお裾分け』

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ところが、事態は急展開を迎える。 「それでそのパートさんの知り合いがアパートを経営してて、清掃の仕事も紹介してくれるみたいなの。まずは見習いだけど、やる気があるなら正社員にもなれるって」 なにをそんなに嬉しそうに話しているのか、理解に苦しむ。 この私が、掃除のおばさん? だっさい制服を着て、三角巾を被れっていうの? 他人がおしっこした黄ばみを洗えと?モップで便所の床を磨くのか? 差別はしていないつもりだが、どう考えても私がやるべき仕事ではない。 「それは願ってもない好条件じゃないか」 「でしょ?これできっと生活が安定するわね」 「近くなら、道子も様子を見に行ってやれるしな」 「リッちゃんの面倒なら、たまに私がみてもいいし。あの子、お絵描きばっかりして静かだし、うちもそのうち生まれてくるしさ」 そう言って、お腹に両手を添える姿は聖母のようだ。 律子がお腹にいると分かった時は、腹が膨らんで体型が崩れるのが嫌でたまらなかったが…。 「すぐに返事をしたほうがいいよ、他の人に決まる前に」 「そうね、明日にでもお願いしてみる」 夫婦が私を追い出そうと、必死だった。 なにかあれば力になると約束してくれたのに? 私の体に反応して、はち切れんばかりに勃っていたのに? 私の答えを待たずに、どうして話を進めるのか?
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