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ソングちゃんは山のてっぺんに着きました。そこにはおしゃべりな関西のおばちゃんがいてました。
「ねえちゃん、どうしたん?こんな山のてっぺんまで」
おばちゃんは意味もなく太ももや腕をペチペチ叩きました。
「金のどんぐりを頼まれているんです、お母さんに」
「ああ、ほんまかいな、そりゃあ、だいぶんとめんどいことやなあ、そんなことよりも姉ちゃん、ひと雨くるかもしれんで」
ソングちゃんは空を見上げました。雲ひとつないいい天気のように見えましたが、一体どういうことでしょう。
「早く持って帰らないと、お母さんが待ってるの」
「そんなこと言うたってなあ、まあ、ゆっくりしていき。お茶菓子がどっかにあったような気がするけどなあ…」
そう言って関西のおばちゃんは豹柄のバッグの中をゴソゴソとかき回しました。
「こんなところに飴ちゃんあったわ。食べ、飴ちゃん。北海道ミルク。美味しいで」おばちゃんがニッと笑います。奥歯の銀歯が光りました。
「ありがとう。でも飴よりも金のどんぐりを…」
「金のどんぐり、金のどんぐりうるさいなあ、もう。そんなに欲しいなら、ほら」と言って豹柄バッグに手を突っ込み、北海道ミルクやらパイン飴やらミルキーやらいちごみるくやらキャンディーロップやら、いろんな飴をソングちゃんに、投げつけてきました。
どんどん投げてくるので、ソングちゃんはたまらず逃げ出しました。
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