ソングとワルツ

5/6
前へ
/6ページ
次へ
「ただいまです、はい、帰ってきました」  帰ったきたのは将棋のおじいちゃんでした。 「ワルツはどうしたんですか?」お母さんは聞きました。 「はい、僕もワルツと言います」ニッとおじいちゃんは笑いました。 「ええ!」お母さんもソングちゃんもびっくりです。 「金のどんぐりは?」ソングちゃんが聞きました。 「えっと、えっと、僕は若い頃からずっと将棋をしてて、でもタイトルを取ったのは遅くて、30歳を過ぎてからで、棋王、王将とタイトルを取って、40歳を超えてからやっと名人になりまして、ええ、はい、ありがとうございます」  そう言っておじいちゃんは早口で捲し立てた。 「あの、うちの息子は将棋しているのでしょうか」お母さんが聞いた。 「いや、将棋さしてる途中でイノシシに襲われまして、それで男の子が僕を助けてくれて、ありがとうございます」 「イノシシ!うちの子は大丈夫なんですか」 「投げ飛ばしていました。イノシシを。大きかったですけど」 「ただいま」ワルツくんが帰ってきました。 「金のどんぐりは見つからなかったけど、イノシシ捕まえてきた」 「お兄ちゃんおかえり!無事だったのね」  お母さんもソングちゃんも大喜びです。 「じゃあ今日はみんなでボタン鍋にしましょう」お母さんがそう言いました。 「やったあ、お母さんのボタン鍋大好き!」兄妹は揃って言いました。 「じゃあ、僕も」おじいちゃんも一緒に喜びました。  
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加