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台所でお母さんがイノシシをさばいていました。
「ワルツ!ソング!ちょっと、ちょっと!」お母さんが呼びました。
「なーにー、お母さん!」
「ほらお腹の中から、金のどんぐりと銀のどんぐりがたっくさん出てきたの」
お母さんの両手には山のように金のどんぐりと銀のどんぐりがのっていました。
「うわー、すっごい」ソングちゃんが言いました。
「食いしん坊のイノシシだったんだあ、やったー!」ワルツくんは言いました。
「あれ、なんか変なのがある」とソングちゃんはお母さんが持っているどんぐりの中から一つ取り出しました。
「なんか『と』って書いてある」ソングちゃんは言いました。
「ほんとね、『と』って書いたあるね、なんだろう、このどんぐり」とお母さんも不思議に思いました。
「おお、それはですね、幸せの『と金どんぐり』ですね、はい」後ろからワルツおじいちゃんが現れて言いました。
「何それ、おじいちゃん?」ワルツくん、ソングちゃんが聞きました。
「最初は弱くてちっちゃなどんぐりが、だんだんと経験を積んだり、努力したり、危険な目にあったりして『金のどんぐり』と同じ、いやそれ以上の価値のあるどんぐりになるんです、はい、めったにみれるもんじゃないんですよ」
「私も初めて見たわ」お母さんが言いました。
「それを持ってずっと鍛錬していればまた、ずっとずっと大きな山に登れます、はい」ワルツのおじいちゃんは笑顔で言いました。
「そうか、幸運の『と金どんぐり』だ」ワルツくんとソングちゃんは言いました。
「今日のボタン鍋は幸せのボタン鍋になりそうね」お母さんはそう言ってみんなの頭をポンポンと叩きました。
おしまい
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