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駅にて
佑吏さんは誰もが考えつかない方法で、私の心のリハビリをしてくれたように感じる。
本当に偉そうな言葉で命令するし…そうして優しさを見せないようでいて、それが私のぐっと深いところに甘く刺さる言動に繋がるのは…好きの為せる業かな。
3月に入り、会社では年度末のバタバタ感を感じる頃、父に代わって、私は関係販売店の新店舗開店のお祝いへと出向いた。
新幹線と在来線で2時間ちょっとの場所なので日帰りで行く、と数日前に佑吏さんに伝えると、その翌日…また彼のドライカレーを一緒に食べながら
「その駅、今月限定でピアノがあるらしい」
と教えてくれた。
「駅のピアノって巡回してるのと、常設があるってこと?」
「そうみたいだな。せっかくだから弾いてくれば?初めて聴いた時より、弥生のピアノ、柔らかく上達したよな」
それはそうかもしれない。以前よりも弾く回数が増えているから…
そうして出向いた仕事先…着いた時には、初めての場所に遅れてはいけないと余裕がなく、ピアノも見なかったけど、夕方近くの帰りには駅でピアノを探してみた。
あった…あの日と同じ白いピアノ。メーカーは違うね…
弾いてくれば?と言われたけど…これって、座るという行為に勇気がいるな…と今さら気づく。
あの日…よく座ったな…私。それが佑吏さんを引き寄せた…運命かな。
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