実家にて

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「そうだね…」 「好きなんだ?」 「クリスマスがもうすぐだね」 「…そっち……迷ってるんだね」 「そこに至っているのかわからない」 よいしょ…と立ち上がり、暖かい部屋へ移動する私についてくる兼房が 「迷うまでもいかないレベルでも好きなら、好きってことでいいんじゃない?」 と背後から言う。 「本当はすっごく好きなのに、その気持ちが今日みたいなことに隠れてしまってるのかもしれないし。そうなるのも仕方ない状況を理解してくれている宇佐美さんだから弥生ちゃんのペースを乱さないんだよ。だから今すぐ弥生ちゃんが“好き”って伝えても、その好きの熱量がどのレベルか絶対にわかってくれると思うな…」 そうだろうけど…それはそれで宇佐美さんに失礼な気がする。 「兼房、大人だね」 「弥生ちゃん、知ってる?僕たちがここに生きているだけでは見たことも聞いたこともない関係性の、愛とか恋とか、い~っぱい…世界中に溢れてるんだよ。弥生ちゃんは結婚式があんなことになって、後ろめたさがあるかもしれない…けど、そんなことは弥生ちゃんが思うほど周りは気にならないよ。小さな熱量であろうが、少し前に進めたね…って喜んで応援してくれる人もたくさんいるよ。それでいいと思わない?」 伊達に一人で海外生活をしていたわけではなさそうだ…いつの間にか弟の兼房が、私に世界の愛を説くようになってる… 「ありがとう、兼房。兼房が寄り添って応援してくれていることがよくわかって嬉しい…」 「よく出来ました、弥生ちゃん。ドライヤーする?」
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