山を登る

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 山頂は拓けた場所だった。  ほんとうに、綺麗に海も見える。澄み渡った空。 「綺麗だな」  そう言いながら、鈴の付いたアルミのコップにコーヒーを注ぐ。  魔法瓶に入っていたコーヒーは湯気を立てていた。  適当な石の上にそれを置き、景色を眺めながら、自分のコップにある湯気の香りを吸い込んだ。  山頂でさ、熱いコーヒーを飲んでさ、大人の一服って洒落込むのって、なんか良い感じじゃないか?  奴はそう言いながら、山頂でいつもコーヒーを飲んでいた。
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