暴く

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 青ざめるゆり、絶句する同僚たち……右京はため息をついてスマホを眺める。 「やっと現場を抑えることが出来ました。今までタイミングのせいかなかなか尻尾を掴めなかったので……まあ、今日も捕まらないなら監視カメラでも見せてもらおうと思ってたんですが、こっちの方が鮮明に撮れたのでよかったです。紛れもない証拠ですよね?」 「……」 「もう一人は滝沢健司。あなたですよね?」  右京が入り口に向かって声を掛けたのでみんなが振り向くと、健司が汗をだらだらかきながら棒立ちになっていた。右京は、滝沢の部署の上司に電話を掛け、滝沢をこっちに向かわせるように言っていたのだ。  右京はつかつかと滝沢の元に歩み寄り、完全に怒りで我を失った顔で覗き込んだ。 「あなたですよね?」 「……いや、これは……美緒にちょっとした嫌がらせをして悩ませれば……美緒は困って俺に頼ってくるだろうから、って、ゆりが言ったので……」  目を泳がせながら言った滝沢に、ゆりがカッとなって言い返す。 「私のせいにするの!? あんただってノリノリだったじゃん!!」 「お、俺はパソコンをいじったりはしてないです、マジです」
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