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次から次へと涙が出てきて止まらない。この一年は何だったんだろう、と空しくなった。あんな一方的な別れ話、ありえない。
「可愛げがない、か……」
美緒の呟きが漏れる。
会社でもなかなか馴染めず、いつも一人でいる自分は、確かに可愛げがない人間なのかもしれない。もう少し上手く立ち回れないんだろうか? 笑顔でにこにこ人と接して、相手の懐に入り込んで、いろんな人に愛される人間になれれば、こんな思いはしなくて済んだのかもしれない。
高校の頃だって、もっと言い方を工夫すれば……。
後悔の念が押し寄せて止まらない。自分を理解してくれる唯一の人だと思っていた滝沢がいなくなったことで、心にぽっかり穴が開いたようだった。
もう、本当に周りに誰もいなくなってしまった。
長い間泣き続け、時刻は日付が変わる頃になっていた。明日も仕事なので、さすがに風呂に入っておかねばまずい。そう考えるも動くのが億劫で、美緒はぼんやりとしながら先ほど放ったカバンを引き寄せ、中からスマホを取り出す。特に何がしたいわけでもなかったが、気分を少しでも変えたかったのだ。
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